時をかける少女 〜いいひとたちですね〜

時をかける少女 通常版 [DVD]

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 2006年に話題になった細田守監督作品。筒井康隆原作。パプリカも2006年でしたね。

 さすが文豪さんあって、ありふれたテーマで作っていながらの、退屈を感じない作品。監督の力か脚本の力か原作の力なのか、正直言ってよくわからないのが残念だけど、とりあえずタイムリープと青春ドラマという、中学生でも思いつきそうなネタを、これほどのクオリティの作品に仕上げれるのが本物の実力なんだろうなぁとか思いつつ。

 時かけの魅力は王道を通りながら読めない展開の妙と、本当に生き生きと描かれたキャラクターたち。2時間の映画でこれだけ多くのキャラを立たせてるのは凄い。元気で活発でかわいい真琴から魔女おばさんやら脇役の文学少女にイジメられてる浮いた奴まで、内外面の描き分けもそれぞれ見事で、配置もきめ細かい。「耳をすませば」をみてうつろに滂沱する非リアにも、多様な萌えどころを用意する匠の細やかな気配りを感じますね。あ、魔女おばさんが僕的にはツボです。
 もちろん平凡な青春を送ってきた方々は、展開される爽やかなドラマに腹から感情移入してボロ泣きできます。ていうかもう、安いハッピーエンドに終わったりしなかったり、ちょっとしたセリフも凝ってたり、いちいち巧いんですよ、脚本の持って行き方が。川沿いの土手でのクライマックスとか、嗚呼。リスペクトがわいてくるほどです。ていうか普通に涙が出そうでした、涙腺固い上に、恋愛リテラシーが壊滅的な男なんですけどね。もしかしたらよくある手口なことに気づかず感動してるのかもw

 まぁ地上波でもきっちり放送されて、だいぶメジャーになってる作品ですが、色鮮やかな青春に対して距離を感じてたり、アニメ作品ってことで敬遠してまだ観れていない人はぜひ。