スカイ・クロラ 〜森と趣味が合わない〜

 明日は五月祭!でも今晩観ないと返せない、そして今晩レビュー書かないとキルドレのように忘れ去ってしまいそうなので。

スカイ・クロラ [DVD]

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 森博嗣の作品はほとんど触れてないんだけど、数十ページ読んでとても無機質に思ってすぐ投げた記憶。このスカイ・クロラも淡々としすぎていて、なんだろう、好きにはなれない感じ。悪くはないし、キルドレという存在も興味深いと思う。設定を膨らませてちゃんと練ってるんだろうなとは思うのだけど、あんまりにも凹凸のない淡々とした展開だけに、自分の中の想像力が踏み切るタイミングを逸したまま、なんとも乾いた、やりきれない後味だけが残ってる現状。

時かけ」を観た後だと本当に際立つこのテンションのギャップ。全員が綾波なワールドでありますよ、これ。強いていえば土岐田がやっと加持さんくらい?うん。静かだ。あえて平坦に描かれたキャラクターたちの顔や、草薙の体型とかも、淡々感を際立たせる。CGを駆使した空中戦描写はアツい。ただ実写すら混ぜるような造形と、あの平面的なキャラ絵の間にどうも違和感はあった。でも全体をとおしての透徹した風景は好き。洋風でどこかレトロな内装の描写も、外の突き抜けて透明な雰囲気と対照的で、いい味出てて気にいった。
 主人公二人の演技も、あまり馴染めなかったかなぁ。まぁそれは脚本というか、全体の雰囲気の中で、やっぱり人間味を感じない、淡々たるものだったから。それがキルドレ、なのかもしれないけど。だから何が悪いって言えるほどの目利きじゃないが、少し肌に合わなかった、そういうところか。


 世界が平和を確認するために、キルドレが殺し合いつづけるという構図も皮肉めいてて好きではあるんだけど(ちょっと分かりやすすぎるけど)淡々と表面を描くのではなく、もっとガッツリと、現実の闇に食い込んでいくようなベクトルがあるような話だったら面白いなと。でもそれはそれで陳腐になってしまうのかもしれないね。


 しかしキルドレ達が殺し合うに至る構図はいかにして作られていったのか、そしてアレは永遠に続いてしまうのか? 想像の余地が随分と残されてる点で、かなり面白い。一度誰かと、深く掘り下げてみたいところだけど、そのために小説を読んでみよう……という気にまではならない程度かw これもこれで悪くない、そんな映画だった。