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閉鎖病棟 (新潮文庫)

閉鎖病棟 (新潮文庫)

 現社教師推薦、ハハキギホウセイ氏が山本周五郎賞を取った作品。
 精神病院を描いた話で、精神病患者の一人称視点、に近い三人称視点で描く。シューティングで喩えればTPSって感じで。わからないならバイオハザード、mgs、などの視点だと考えればよい。FPSではない。
 ウィキ的には

九州のとある精神科病棟で、重く苦しい過去を背負いながらも、明るく生きようとする患者達と、その途中で起こる殺人事件とその意外な結末を描く。一応はサスペンスの形態を取ってはいるが、それよりも個性的な患者たちの生活に重点がおかれている。

 精神病患者、って存在をこの本ほど「公正」に描いたのは少ないと思う。健常者の視点というのがほぼ完全に対象化されて描かれている。「狂った存在」として社会から「閉ざされた」彼らが、過去を背負い、生きた人間として存在している姿が描かれている。人道主義的な、どこか鬱陶しい告発ではない。ただ僕らの根底にある「精神病」、「キチガイ」、「ヘンタイ」、「頭狂ってる」…… そういうのが、揺るがされる。問い直されていく。

 彼らは「患者」である以前に、人間なのだ。
 この僕の総括は、結局人道的な結論に過ぎないようになってしmaうのだけど、比較的淡々として静かな言葉からは、それ以上の叫び声が聞こえる。



在日 (集英社文庫 か 48-1)

在日 (集英社文庫 か 48-1)

 姜尚中(変換できたよw)は名高い学者さんです。
 在日という存在について正直無知だったのですが、僕らにとって自明であるナショナリティが存在しないことがどれだけ苦痛だったかが、若き姜尚中の苦悩から伝わってくる本。
 家族や親しい「おじさん」、祖国での複雑な心情などなど、彼の思いが非常に具体的な形で、抽象化したりすることなくプライベートなところに至って深く描かれていて、これを出版する彼の気迫というか、覚悟の程が伺える。

 とりあえず彼の他の著作に興味が湧いてきた。この本を下敷きにして読んでしmaうと彼の意図に反する可能性が高いが、そこは理性の力できちんと読んでいこう。一つの挑戦だ。