こういうのを知るために生物取ってる
- 作者: 池谷裕二,長崎訓子
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2004/10/23
- メディア: 単行本
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- 作者: 池谷裕二,糸井重里
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/06/26
- メディア: 文庫
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アメリカで学ぶ日本の高校生数名との4回の講義をまとめたような構成。「海馬」の時も思ったが、この人は本当に「難しいことを分かりやすく伝える」って、一番難しいことができる聡明な人なんだなと思う
対象が高校生との講義形式ということもあって、言葉は分かりやすく、喩えや図も豊富。興味を広げるような話題の持って行き方も巧み。時折はさんでくる高校生の質問がまた上質。まずこの理解しやすさに感動
最先端の学問的テーマに触れながら、心って何?みたいな抽象的な問いも丁寧に考察していってる。どこまでが自分なのか?とか言葉とはどういうものか?などなど。茂木健一郎でおなじみの「クオリア」も登場。掴みづらい概念を、何となくでも分からせてしまう。
タイトルの「進化しすぎた脳」は序盤のテーマ。実は人間の脳は全然フル稼働していない。てか余裕だらけだったりする。優秀な青年が実は水頭症で脳が常人の10%ぐらいしかなかったり、みたいなエピソードが衝撃的だった。そこまで脳って余ってんのかよ……
「見る」という行動がいかに無意識であるかも、錯視などの例を通して多く書かれている。なぜ脳が抽象的な思考をでき、する必要があるのか?記憶はどうして曖昧なのか?シナプスの法則性をこれからの脳科学者はどう解明しようとしているのか……などなど
脳科学という生物学的な視点で、人間の意識や精神を解明していく。考えたこともなかった疑問、思いもよらない脳の事実、読んでて驚くことばかり。文系とか理系とか関係なく、人間の本質の一面をしっかりと誠実に掴める、これはかなりいい本。よっぽど脳に詳しい人以外なら、誰にでもオススメできる