nIPPONの黄昏

熱いので叫んで冷まします


NHKの特番"JUDO"を見ていたわけだが
国際大会で日本柔道が勝てなくなっている。欧州のポイントJUDOと日本の一本柔道の対比が鮮やかに描かれていた
その中で最後まで鮮やかな内股一本を追い求め、返し技に散った井上康生
貪欲にJUDOを学び、接戦をものにして代表の座を掴んだ石井慧
きれいな対比の構図だ。カタルシスがないけど


芸術は経済には勝てないものだ。芸術は余剰に生まれる。平安の溢れる贅沢から源氏物語が生まれたように、美の担い手は貴族であり余裕のある者たちだ

勝ち星の数がダイレクトに評価基準となる世界のハングリーなJUDO。その中に美意識が生まれるのはまだ先のことなのだろう

サッカーだって守れば勝てる。だがリーガを制していながら、カペッロがレアルから放り出されたように、人々の感動を呼び起こさないものは結局支持されない

ぶっちゃけ勝負の世界では試合の数だけ勝ち星が生まれる。勝ち星に感動するのは固定ファンと当人だけだ
けど、万人を震わす美しさとかは絶対にあるはずだ、どんなスポーツにも。C.ロナウドの奔放できらびやかな足技、ミルコのハイキック、ダルビッシュウェイクフィールドのナックル……

スポーツなんて元々何の物質的価値も生み出さないんだ。だがスポーツには価値がある。価値を生むのは感動だ。勝ち負けなんかじゃない
互いの武器と才を華々しく散らしあう姿にこそ人は燃え、感動し、心から応援できるんじゃないのか?
互いのよさを消しあって判定で勝負なんて、少なくとも俺にとっては値打ちがないものだ。玄人があざ笑おうが勝手にしやがれ。マニアは勝手にやれ股が、やれ上腕二頭筋がと語ればいい
それで日本人が金メダルを取ろうと、世界記録を塗りかえようと、賞賛こそしても、つまらなさがこびりつくだけだ

一本で勝てる、天才的な柔道家の登場が待たれる。鮮やかに全部投げ飛ばしてほしい。誰だっていい。効果だとか教育的指導とか、レフリーごと観客席まで投げ飛ばしちまえばいいんだ