永遠

生物の授業で言ってたこと

 「染色体には複製の限度回数が定められていて、複製するごとに回数券みたいにその部分が無くなっていくので、成体から作り出したクローン生物は寿命が少ない(クローンとオリジナルは大体同時に死ぬ)」

 「ガン細胞にはその回数券を作り出す酵素が異常に多いので、券を切っても即座に回数券が継ぎ足され、永遠に分裂し続ける」

 「実際ガン細胞の『標準』とされている"ヒーラcell"は30年以上前に死んだ女性のガン細胞の子孫であり、これは研究者用に安く売られている」



クローンを作っても定められた寿命を超えることは出来ないのか。神秘だ。クローンをもってすら"肉体の消滅"を避けられないのか……

どんな物も必ず滅びるのに、ガン細胞は永遠に増え続ける。普通の細胞は神の定めた限界を超えることは出来ないのに

 永遠は神に通じる。ガンは死を拒み生き続ける人間に、神が与えるものなのかもしれない。てかガン細胞は本当に「死神」なのだろう

昔の人間は様々な形で死んでいった。ケガ、流行病、結核などなど。だが医学はそれを克服し、人間は極端に死ななくなった。ガンでの死者の割合はどんどん増えていった

昔は多くの人がかかったその病を、人間の医学はどんどん破って行き、もはや超えられない病は無くなりそうなところまできている

 ガンは「最後の死因」であり「死神」だ。神が永遠性を与えた唯一の細胞だ。人を死なせるために

だがその死神をも医学は破ろうとしている。死因の大部分が老衰になる時代が俺の生きているうちに来るかもしれない


そうなったとき、人間(先進国のね)はほとんどがボケて頭スカスカになって死ぬのだろうか。

 人間は最後には「肉体より心が先に死ぬ」ということになるのだろう。シシババ垂れて涎流して自分が何かも分からず、身内や人々に迷惑をかけ続けながら。肉体があの世へやってくるのを心は待ち続けるのだろうか

 医学の進歩の先にあるのは、そんな虚しい結末なのかもしれないなぁ