ふと思い出した

いつだったかωの授業中に当てられて、肝心の問題には答えず、ふと気づいたωの誤植を指摘した

 ωは訂正。答えを改めて聞かれたが、答えずにパスしたところ、軽くイラつき気味に「こんな下らないミス誰だってするやろ、こんなんいちいちあげつらって笑うような奴は俺は嫌いや」と吐き捨てるように言った


「やっちまったなー」とものすごく後悔し、どうやって謝ろうとあれこれ考え、授業が終わった後ωの2m横まで行ったが、なんか逡巡してるうちにωは行っちゃった

ωの目には俺が他人の揚げ足取ってバカにしたいだけのバカに見えたことだろう。ただ何も考えず、間違っていたから訂正しただけだったんだが


ならなんで俺は何も考えず素直に誤解をとこうとしなかったのだろう。自分のことながらよく分からないが、多分ωが俺をそういうしょうもない人間と誤解したこと自体が、俺の自尊心を軽く傷つけたのだろう。実際その時ちょっとωに反感を覚えたし

 俺にも謝るべき非はあったが、揚げ足をとって他人を嘲笑うような卑劣な人間ではないと思ってるしそんなもんまっぴらごめんだ。失言のようなもんだし、俺はそんな悪意をこめて言ったわけじゃない

 親しくもないωがそう思ったことは納得できることだが、そんな風に扱われた上に頭を下げて許しを乞わねばならないのはどっか不当な気がしたし、言い訳がましくて無様に思えた


結局、幼稚で不毛なプライドのせいでωの心象は悪いままになったわけだ。やれやれだぜ……